Vercel が Active CPU 課金へ移行
Vercel の関数課金が「確保したメモリ量 × 実行時間」から「CPU が実際に動いた時間(Active CPU)+確保メモリ」の分離課金へ変更。待ち時間の多い処理ほど安くなり、Vercel の試算では標準構成で約53%の値下げ。
変更前
関数の実行時間中、確保したメモリ量に対して一律課金。$0.18 / GB時。
CPU が実際に計算しているかどうかは問われず、外部 API の応答待ちやデータベース待ちの時間も同じ単価で課金されていた。
変更後
課金軸を分離。
- Active CPU: CPU が実際に動いている時間のみ。$0.128 / 時
- Provisioned Memory: 確保メモリ。$0.0106 / GB時(Active CPU の1割未満)
- 加えて呼び出し回数
I/O 待ちの間は Active CPU の課金が止まり、メモリ課金のみが続く。Vercel の試算では、Standard 構成をフル稼働させた場合で $0.31842/時 → $0.149/時(約53%減)。
Hobby・Pro・新規 Enterprise では既定で有効。
影響
待ち時間が長い処理ほど得をする構造への変更である。効果が大きいのは以下のような処理。
- LLM の API 呼び出し(応答待ちが処理時間の大半を占める)
- AI エージェント的な多段の外部呼び出し
- 外部 API や DB の応答待ちが支配的な処理
逆に CPU をひたすら回す処理(画像変換、大量のデータ加工)では旧モデルほどの差は出ない。 「Vercel が53%安くなった」という数字を自分のワークロードにそのまま当てはめないこと。
実務上の注意として、課金軸が変わると監視すべき指標も変わる。 従来は「関数の実行時間」を見ていれば費用が読めたが、今は Active CPU とメモリ確保量を分けて見る必要がある。実行時間が長くても CPU を使っていなければ安く、実行時間が短くても CPU を張り付かせていれば高い。
なお Hobby プランは非商用限定である点は変わっていない。この値下げは商用利用の可否とは無関係で、収益が発生するなら Pro 以上が必要という条件はそのまま残る。
監視すべき指標が変わった
課金軸が変わると見るべき数字も変わる。 従来は「関数の実行時間」を見ていれば費用が読めたが、いまは Active CPU と確保メモリを分けて見る必要がある。
- 実行時間が長くても、CPU を使っていなければ安い
- 実行時間が短くても、CPU を張り付かせていれば高い
同じ「実行時間3秒」でも請求額が数倍変わり得るということである。コスト異常を検知するアラートを実行時間ベースで組んでいるなら、Active CPU ベースに組み替えないと異常を取り逃がす。
設計判断への影響
待ち時間が課金されなくなったことで、外部 API を直列に呼ぶ実装のコスト上のペナルティが小さくなった。 従来は待ち時間を削るために並列化やバッチ化を行う金銭的な動機があったが、その動機は弱くなる。ただし応答時間そのものは変わらないため、ユーザー体験を理由とした並列化の必要性は残る。
逆に、CPU を長く使う処理をサーバーレス関数に置く判断は再考の余地がある。画像変換や大量データの加工は Active CPU が張り付くため、専用のワーカーやコンテナのほうが安く収まる領域が広がった。
プランの前提は変わっていない
なお Hobby プランは非商用限定である点は変わっていない。この値下げは商用利用の可否とは無関係で、収益が発生するなら Pro 以上が必要という条件はそのまま残る。広告掲載やアフィリエイトも Vercel の定義では商用にあたる。