Vercel と Netlify の比較
最大の差は無料枠の商用可否。Vercel Hobby は規約上「非商用限定」で、収益が発生する時点で Pro が必須になる。Netlify Starter は無料のまま商用利用できる。技術的な差より、この規約差のほうが実務では効く。
主要な差分
解説と実務上の注意
技術より先に、規約で決まってしまう
この2つを比較するとき、多くの記事はビルド速度やエッジランタイムの違いを論じます。しかし実務で最初に効いてくるのは規約の差です。
Vercel の Hobby プランは非商用限定です(commercial_use_allowed: conditional — Hobby: no / Pro 以上: yes)。個人の実験や学習には使えますが、そのサイトが1円でも収益を生んだ時点で Pro への移行が必要になります。ここで言う「商用」は物販だけではありません。アフィリエイトリンク、広告の掲載、自社サービスへの送客を目的としたランディングページ、フリーランスがクライアントに納品したサイト — いずれも該当し得ます。
対して Netlify は Starter(無料)でも商用利用が認められています(commercial_use_allowed: yes)。帯域とビルド時間には上限がありますが、規約上の制限ではなく単なるリソース上限です。
この差は後から効いてきます。個人プロジェクトとして Vercel Hobby で立ち上げたサイトに広告を貼った、あるいは小さく課金を始めた — その瞬間から規約違反の状態が続くことになります。技術選定としては可逆でも、規約違反の期間は遡って消せません。
「収益化する可能性があるか」で分岐させる
判断はシンプルにできます。
- 収益化の可能性が一切ない(純粋な個人サイト、ポートフォリオ、技術検証)→ どちらでもよい
- 将来収益化するかもしれない → Netlify を選ぶか、最初から Vercel Pro を払う
- すでに収益がある → Vercel なら Pro 一択。Netlify なら無料のまま可
「あとで Pro にすればいい」は一見合理的ですが、移行を忘れたまま運用が続くのが現実的な失敗パターンです。無料のまま商用が許される Netlify のほうが、この事故は起きません。
Next.js を使うなら話が変わる
規約面では Netlify が有利ですが、Next.js を使うなら Vercel の優位は本物です。 Next.js は Vercel が開発しており、新機能が最初に、かつ完全な形で動くのは Vercel 上です。ISR、Image Optimization、Middleware、App Router の細かい挙動まで含めて「作者の環境」で動かせる価値は小さくありません。
Netlify も Next.js に対応していますが、アダプタを経由するため、最新機能の対応にラグが出ることや、エッジケースで挙動が異なることがあります。 Next.js の込み入った機能に依存するプロダクトなら、Pro の月額を払ってでも Vercel を選ぶ合理性があります。
逆に Astro、SvelteKit、Hugo、素の静的サイトなどフレームワーク中立な構成なら、Vercel を選ぶ技術的理由はほとんどありません。
Cron の扱いが違う
定期実行が要件にあるなら確認してください。Vercel の Hobby プランは1日2回までのスケジュール実行に制限されます(cron_available: conditional)。毎時実行したいなら Pro が必要です。Netlify は Scheduled Functions を全プランで提供しています(cron_available: yes)。無料枠で定期実行を回したいなら Netlify です。
超過したときの挙動
料金の性質が違う点も見落とされがちです。Vercel は上限超過時に従量課金へ移行する設計で、トラフィックが跳ねると請求も跳ねます。 想定外のバズやクローラーの集中で高額請求になる事故は、この課金モデルに固有のものです。使用量の上限アラートは、運用開始時に必ず設定してください。
権利
| 項目 | Vercel | Netlify |
|---|---|---|
commercial_use_allowed |
条件付き | 可 |
制約
| 項目 | Vercel | Netlify |
|---|---|---|
api_available |
可 | 可 |
cron_available |
条件付き | 可 |
custom_domain_available |
可 | 可 |
webhook_available |
可 | 可 |
plan_limit_note |
— | 条件付き |
結論:どちらを選ぶべきか
Netlify を選ぶべきケース — 無料枠のまま商用利用したい、フレームワークが Next.js 以外、無料で定期実行を回したい、想定外の従量課金を避けたい。
Vercel を選ぶべきケース — Next.js の最新機能に深く依存している、Pro の月額を払う前提がある。
絶対に避けるべき状態 — Vercel Hobby のまま収益化すること。アフィリエイト、広告、クライアント納品はいずれも商用に該当し得ます。収益化の可能性が少しでもあるなら、Netlify にするか最初から Pro を契約してください。